7-11本部は7月から弁当や総菜等、日配商品の売れ残り廃棄原価の15%を負担すると発表した。まあこれは年中行事でやっている「おにぎり100円セール」と同じ事であり、販促対策の恒常化で本部のコスト増に見えるが年間販促費用の振替えとも考えられるし、さほど影響は少なそうである。
売れ残り品の見切り販売はコンビニ業界が成長してきた頃からある古くて新しい課題だ。これが公取による排除命令が出されてしまったと言う事は、「パンドラの箱」を開けてしまった事に等しい。この不景気、所得格差と階層分化の激化で少しでも安く物を買いたいという気持ちは理解できる。賞味期限切れが間近でも食べて食中毒になる訳じゃなし、安く買えるに越したことはない・・・しかし、コンビニの弁当ケースを見てみると、みんな製造日付や納品便記号(その日の何番目に納品されたかを示す記号・・・みんなよく知ってるんだ、これが)をみて、新しいものを選んで買っている。これってスーパーで日付の新しい牛乳を並んでいる後ろから取っていくのと全く同じだ。
するとどうなるかは自明だ。
賞味期限切れ間近の商品と、その前の納品便で納品されたおにぎりとでは6時間も間は開いていない・・・「こっちのおにぎりは安くならないの?」そう言われて頑なに「コッチはまだダメです」なんて言えやしない。
「え~っ、アッチの○×(競合コンビニの事)じゃ安くなってるよ」何て言われた日にゃあ対抗上値引きせざるを得ない。たとえたった今納品された、鮮度の良いおにぎりだったとしても。
要するに泥沼の価格競争に陥ると言う事だ。店も本部も下手をすると共倒れになる恐れが「パンドラの箱」なのだ。
また7-11本部は犯罪的に儲け過ぎている、の様な論調があるのも気になる(これはご都合主義の権化たる築地にある新聞社)。何か反社会的な事をしているかの様な紙面での書き立て方だ。
本来フランチャイズビジネスってものは本部が必ず儲かる様にできているものだし、またそうあるべきだとも思う。利益を上げる事は競争に勝ち抜いてゆく為の原資確保として不可欠だ。コンビニはもはやシステム産業だし、店や本部が素早い意思決定できる様に環境を整える(先行投資する)必要がある。
またフランチャイズに加盟するって事は、極論すれば自分ではできないことを他人の力を借りて(対価を払って)商売するって事だ。ホントにビジネスセンスに長けていたらFC等に加盟しなくても成功していたかもしれない。ただ現代では自分ひとりor家族だけで商品調達やら会計処理やらをこなせてゆける程、ゆったりしている時代じゃなくなった。TVCMしている新製品を、欲しい時に欲しいだけ納品してくれるとは限らない。
「FC本部は儲け過ぎだ」「儲けを返せ」ってな話がある。気持はわからないでもないけど、FC加盟店ってのはサラリーマンじゃない。「労働時間を短縮しろ」って誰のことだ?だってFC加盟店って立派な経営者だ。確かに「明日は売れるぞ!」と読んでドカ~ンとおにぎりを注文したら、天気予報が大外れor当てにしていた運動会が中止で売れ残りの山。大損失~大損こいて涙も出ないってのはよく聞く話。
でも予想が大当たりして、予想以上に売れちゃってアッと言う間に売り場はガラガラ。これまた売り逃しで大損「もっと儲けられたのに!」。つまり大損こくのも、大儲けできるのも経営者だから。サラリーマンなら出来て当たり前、できなきゃ評価下げられるのみ。つまりビジネスの醍醐味は経営者ならではなのだ。
まあFC本部のSV(スーパーバイザー)が、言ってはならない事を口走って(「言うことを聞かないと契約解除にするぞ」等)、加盟店を不快&不安にさせているケースもままあるだろう。でもFC本部も加盟店も、それぞれの矜持は失われてしまったのだろうか?FCに加盟すれば成功できる、儲かる、みたいな安易さがチェーン拡大の中で共有されてしまったのではないか。
FCビジネスって、そうそうボロイ商売じゃないと思う。客商売ってみんな同じじゃないかな。伊藤雅俊氏曰く「お客様は来ないもの、銀行はお金を貸してくれないもの、取引先は商品を入れてくれないもの、と思え」。
この先の展開がどうなるか、しばし様子を見ることにしよう。
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