『半島を出よ』読了しました
実は前回のblogは今回のまとめている最中に書いたもの。この本を読んでいる内に反日騒ぎが大陸や半島で猛烈な勢いで火を噴き、読了後の印象よりも先にしゃべってしまいたくなった。北朝鮮>朝鮮半島>反日騒ぎ&『半島を出よ』と、タイムリーな偶然?である。やはり販売部数が伸びている様子。ツイてるね、村上龍は。
『半島を出よ』。大著である。上下巻合わせて930ページもある。
書店でしばらく立ち読みした後とりあえず上巻を購入。面白い。直ぐに下巻も購入した。心象風景の描写の部分などでちょいと長いかな、と思う部分もあったが、読み応えのある話に出会って満足。彼の長めの小説は「愛と幻想のファシズム」以来だったが、これほど夢中になって読んだのも久しぶりだった。
話のスジはもうバレバレかもしれないが詳しいところは触れないでおく。読んでみた方が面白いよ。kazooom!さんのblogの中でpickupされている部分が私と同じなので、linkさせていただきました。*kazoom!さん、トラバもさせていただきました。
上下巻読むのに2週間もかかってしまった。近未来軍事小説であり政治小説であり、国際経済小説の風でもあり、善悪とは何かを考えさせる話でもある。軍事的戦闘場面や政治家の不毛な対応場面、闘いの場で自らカタルシスを得てゆく少年達の場面等、ページを次々めくってゆくのを忘れる程だったが、私的には主人公の少年達の生い立ちの中で、その心象風景にこの作者の力量を感じさせた。何故そんな風になってしまったのか、彼らの眼から見た世界はどんな風に映ったのか~ぐにゃぐにゃした訳のわからない苛立ち、不快感。その辺りを読んだ時、自分もある種の既視感を覚えた「あーそんな事あったな」と。そこら辺を言葉で表したものを読んだのは初めてだった。誰にでもどこかで隠している様な不条理さの様な、狂気の様な、少年期の不安定さの様な。
主人公の少年達は一言で言えばどうしようもない連中である。今ニュースで盛んに報じられている、幼児をトンカチでぶん殴って「大量殺人をしたかった」なんて言って逮捕されたガキとまさに同じ様な連中である。これまた随分タイミング良く小説のスジと同じ様なヤツが出てきたな、と思ったが、こんな連中を擁護する気はさらさら無い。が、彼らの居場所、カタルシスは小説のような形でしか昇華されないかもしれないという、切なさを感じるのだ。人間は切り刻まれたらどうなるのか知りたくなって、同級生の女の子を殺してしまうアンドウ.....etc。どいつもコイツも救いは無い。しかし炎と暴力と飛び散る血と肉片の中に自らを見出す。この切なさ。
何時にも増して言葉が生きている小説だと思う。登場人物の吐くセリフ一つ一つがまさに村上龍式で、リアリティとLive感がある。西日本新聞社社会部の女性記者のセリフがネタとしては良いアクセントで楽しい(読んでね)。
オススメの1冊(上下2冊)です。
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コメント
Tバックありがとうございました(相当遅いですが…)。
リアリティとライブ感――まさにおっしゃるとおりで。
これだけの情報力と想像力を発揮できる作家って、日本ではやっぱり村上龍くらいじゃないかと。
「面白い」の方向が、ほかの作家と違うところにあるようなそんな感じがします。
投稿: kazooom! | 2005年5月 5日 (木) 午前 06時55分